《連載 #2》ジェイ・マックスを探して

2024年1月に行われた『HELLO YOSHIWARA 2023:吉原商店街に出会おう!』展覧会。吉原商店街で店舗を営む「店主」と県外芸術家の両者が「表現者」としてタッグを組んだ成果が披露されたこの場で、密かに産声をあげたもうひとつの「作品」があった ———。

吉原MAD-DOGsの好奇心がいざなう、半径500メートル以内の旅をつづる連載エッセイ第2弾。アーティストとのひょんな会話がきっかけで「J-MAX」を探す事にした吉原MAD-DOGsの珍道中、はじまりはじまり!

 
 
 

アーティストの方からJ-MAXのことを聞いた時、ひとつだけヒントをもらっていた。それは「商店街の南側にあり、メインストリート沿いではない」ということだった。

とりあえず、商店街の一本南側の道を歩いてみよう。

中央図書館に行った帰りに時間があったので、図書館を出て、そのまままっすぐ歩いて商店街へ向かった。

三又に分かれている細い道を通り、木之元神社の裏を通ると、吉原中央駅の一本南側の道に出る。

そういえば、この木之元神社、お笑いコンビずんの飯尾さんがテレビのロケで訪れて、「ハワイロケに行きたい」とお願いしたら、本当にハワイロケに行っていたな…。あやかりたいので「ハワイに行きたい」とお願いしておく。

京昌園本店、海郎小屋と飲食店の前を通り過ぎると、ずっと気になってた看板が見えてくる。

 

「シャレード」

 

オードリー・ヘップバーンの映画と同じ名前だ。それだけでもシャレているが(シャレードとシャレをかけたわけではない)、シャレードという文字の上に「Coffee &Meal」と書いてあるのが、なんともシャレているではないか(シャレードとシャレをかけたわけでは決してない)。ちょっと気取った文字のフォントや緑とピンクのラインづかいもいい。昭和の看板は、こういった小粋な一言が添えられていることが多く、見るのが楽しい。

そして、このシャレードが入っているビルの階段がまたシャレている(シャレードと…以下略)。鎖かたびらのような模様の装飾がしてあり、そこにおそらくビルの名前であろう「ヴァルトブルク」という表札が出ている。

知らない言葉だったので調べてみると、ドイツにある、世界遺産に登録されるような歴史ある城の名前と、やはりドイツの、生産終了から30年以上経っても愛好者のいる車の名前が出てきた。シャ………

どんな店か気になるが、とっくのとんまにこの店はやっていない。どんなお店だったのかという話もあまり聞かない。

当時を知っている方いたら、ぜひ教えてほしい。

 

さて次の交差点を越えると、いよいよ吉原商店街のエリアだ。

左手の方向を見ると、紫色の建物の上でアラビアン・ナイト カップルがこっちを見て微笑んでいる。

吉原中央駅からはバスが顔を出す。

バスにはいろいろな広告がプリントされているが、そのバスは私の通ってる眼科の広告がプリントされているバスだった。ここの先生、髪の毛は金髪で銀色のペディキュアをしている。眼科の広告バスはよく見かけるので、見かけるたび写真を撮り、同じ眼科に通う友人とLINEで見せ合いっこをしている。ほとんどラッキースポットみたいなもんで、白いワーゲンを見かけたらラッキー、でも、赤いワーゲンを見たら帳消し、それを復活させるには白いワーゲンを3台見ないとならないのと同じノリである。

  

先に進もう。

右手にARABICAの看板がある。ARABICAはいい店だったという話は聞くが、どんな店かは覚えていない。このARABICAが入っていたビルのテナントはみんな閉店してしまった。ビルの1番東にあったラーメン屋はわりと人気があったようだが、スープが熱いという印象が強すぎて、うまいのか、まずいのかよくわからなかったな…。

 

というところで、急に我に返った。

こんな調子で眺めていたら、全然先に進まない。私の目的はJ-MAXを探すことで、思い出にふけりたいわけではない。

踵を返し、先を急ごうとする私の前に、見逃せない建物が目に飛び込んできた。

 
 
 

Photo: 吉原MAD-DOGs

 

*次回更新は2025年2月下旬を予定しています


吉原MAD-DOGs プロフィール

静岡県富士市吉原からやってきました、吉原MAD-DOGsです。東京〇〇ズという名前に憧れて、吉原を名前の冠につけました。 ひとりプロジェクトなので小さなsです。誰か入ったら大きなSにします。 まちの偵察を日課としています。


“Media of Yoshiwara, by Yoshiwara, for Yoshiwara”

徹底的にどローカル。今と昔を見つめながらすこし先の “新しい吉原カルチャー” を考える

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